ハイトーンボーカル×スラッシュメタル!Savage Messiah 2ndアルバム『Plague Of Conscience』
イギリスのヘヴィメタルバンド、Savage Messiah*1の2ndアルバム『Plague Of Conscience』を紹介します。2012年リリース。
作風は、基本的に前作の延長線上にあります。
そのため、今までの作品を気に入っているなら今作も気に入ると思います。
前作で見せてくれた、正統派メタル×スラッシュメタルの要素をさらに向上・発展させ、弱点だったメロディやミドルテンポの楽曲を改良しようという心意気が見て取れます。
全体的なバランスが取れ、アルバムとしてもだいぶ良くなりました。
また、ボーカルの表現力は驚くほど向上しました。
中音域の力強い歌唱はそのままに、さらに高音域のシャウトを加えるようになりました。
曲紹介
さらにパワーアップした1曲目
前作と同様、SEから始まる1曲目の "Plague Of Conscience" では、冒頭から正統派メタル顔負けのハイトーンシャウトを聴かせてくれます。
そこにザクザクと切り刻まれるリフ。
まさに鬼に金棒です。
基本的に前作の一曲目 "Insurrection Rising" を踏襲した楽曲ですが、よりパワフルに、よりメロディアスになりました。
ギターソロのバッキングのリフも格好いいです。
癖になるリフ#5:All Seeing I
5曲目 "All Seeing I" 。これに関しては公式のミュージックビデオが作られています。
リズミカルに刻む冒頭のリフは、Exodusを思わせます。
Aメロのリフがなかなか格好いいです。
サビメロ、ギターソロ、アウトロがちょっと弱めなのは痛いところ。
変にテンポチェンジしたりせず、素直に終わらせた方が格好良かったのでは?と思います。
ボーカルが冴える#8:The Accuser
出だしからハイトーンシャウト×刻みまくりのリフというアクセル全開の8曲目 "The Accuser" 。
リフはやや平凡ですが、ボーカルの勢いでカバーしています。
前作から幅が広くなった。しかし厳しいことを言えば・・・
前作がスラッシュメタル成分強めだとしたら、今作は正統派+パワーメタル要素が強めだと言えるかもしれません。
ボーカルは力強くなり、メロディアスなツインギターソロも増えました。
しかし、弱点も露呈し始めました。
メロディーが弱い
メロディラインにも幅が出てきました。
しかし、率直に言ってどれも似たり寄ったりな感は否めません。
例えば「1曲目と9曲目の歌メロを入れ替え」ても違和感がないかもしれません。
前作もそうでしたが、最後になって「結局どれも印象に残らなかったな・・・」と思う人もいるかと思います。
一緒に歌いたくなる曲も少ないです。観客にマイクを向けて歌わせても、誰も歌ってくれなそう。
キャッチーさに欠けるのかもしれません。
リフが弱い
悪くはないのですが、今いち煮え切らないリフが多いです。
ギタリストがコピーしたくなるようなリフはないと思います。
後半がやや弱い
アルバムとして悪いわけではありません。
が、ハッと目の覚めるような曲もないです。
相変わらず1曲目がピーク。
せめて、1曲目とラストの曲は同等のクオリティにしてサンドウィッチするべきでした。
往年の名盤はラストの曲が一番良かったりするものです。
まとめ:彼らはまだ羽化前
前作から幅を広げ、新たな可能性を模索している点は評価出来ます。
ボーカルも並のバンドよりも良いし、リフだって悪くないものを作れる。
ギターソロも発展途上だけど酷いという程ではない。
ただ、全てにおいて惜しい。
全てがレベルの高さを思わせつつ、しかしどこか煮え切らない。
まだ一歩、二歩くらい心の底から「良い!」というには足りません。
だからこそ、まだ伸びると思います。
そして、殻を破れば傑作が出るに違いない。
それだけのポテンシャルは秘めているよね、と思わせてくれるアルバムでした。